ベンチャー企業転職の、選び方、面接のコツ、失敗しないための注意点

ベンチャー企業とは

「ベンチャー企業」という言葉、私の記憶では15年前くらいから聞くようになった言葉です。確か、ホリエモンのライブドアとセットで一般的に認知された言葉で、「IT業界、若い挑戦的な経営者がいて、会社の規模は小さいけどその機動力を生かして斬新がアイデアをスピーディーに展開する会社」といったイメージでしょうか。

《ventureは「冒険的な企て」の意》新技術・新事業を開発し、事業として発足させた中小企業

出展:コトバンク「ベンチャー企業」

不景気を背景に、どうせ安定なんてものがないのであれば、会社の歯車に収まるよりは、”なんかカッコイイ”ベンチャー企業に人気が集まったのを記憶しています。

その後もGoogleやFacebookといった海外のベンチャーの成功を背景に、今日の日本でも元気なベンチャー企業は多くあります。では現在は何を持って「ベンチャーなの」と聞かれれば、それはマインドなのではないでしょうか。

そんな企業のとしての”在り方”に共感してベンチャー企業への転職を考える方に、実際にベンチャーに転職し、そこで事業部長として事業作り、採用、また同じベンチャー企業との交流を通して多くの内情を見聞きした私の経験をもとに、転職に関するアドバイスをさせていただきます。

ベンチャー企業転職のリスクとメリット

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ベンチャー企業には、ベンチャーだからこそのリスクとメリットは両方存在します。私は約5年勤務し、一平社員で入社し、事業部長になるまでの段階を経て、リスクとメリットの両方を身を以て体験したと思っています。

それらを体験を交えてご紹介していきます。

メリットとは

転職という観点で見れば、まず第一に入社の敷居が低い会社が多いことがあります。学歴や過去の経歴も多少は見ますが、どちらかというと面接でのフィーリングや、その会社が掲げる理念やビジョンへの共感によって採用されることも多いのです。

入社後は、経営者との距離が近いことも魅力かもしれません。ワンフロアで社長も個室(社長室)にこもることなく、その他社員と机を並べて仕事をしている場合も多く、比較的コミニュケーションが取りやすい場合が多いです。

また規模が小さく、若い社員が多いのも特徴の一つで、社員同士が公私ともに仲が良く、サークル的なノリで交流が活発なことも魅力かもしれません(これについては賛否両論あると思いますが)。

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事業については、スピード感は確かに早いと思います。チャンスだと思えばすぐに新しい事業に乗り出しますし、その代わり撤退も早い。深く慎重に考えるよりも、まず一旦やってみるという行動力があると思います。

リスクとは

私は20代後半で、当時50名規模のITベンチャーに転職したのですが、当時経営者は全員自分よりも年下で、企業に勤めたこともないという状況でした。結果として困ったことは、若い社員に必要な教育や、給与に直接影響する査定について意味不明な仕組みが多く導入されていたことでした。

また、トップダウンで物事が決まることも多く、社長の一存で全く未知の市場に参入し、数千万円を投資して1円も売り上げが立たずに撤退ということもありました。健全な大人がいる企業であれば、「君、それは無理だよ。100歩譲ってやってもいいと思うけど、もう少しちゃんと準備しなさい」と、勢いだけで負け試合に突っ込むのを止めてくれるのですが、それをする人がいないのです。

労働時間についても、かなりハードなところが多いのではないでしょうか。新卒社員が毎日夜中の12時まで働き、休日も出社しているのは良く見かけました。有給も、取得を推奨することはありますが、物理的に取得が可能なほどのサポートが得られるかというと難しい会社が多いと思います。

ベンチャー転職を成功させるには

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リスクとメリットを踏まえた上で、やはりベンチャーに転職したいという方には、どうすれば成功するのかを幾つかご紹介していきます。

ここで言う「成功」とは、行きたいと思った会社に入社できて、かつ入社後に大きな後悔をしないことを成功と定義して、その方法をご説明します。

多くを求めず、目的を定める

まず、はっきりお伝えしておきたいのは、大手とベンチャーを比べた時に、企業の総合力としては確実に大手の方が上です。”ベンチャーを起業”するのであれば、一攫千金の夢も描けますが、一社員という立場であれば、安定性や福利厚生、教育体制など含めて確実に大手の方が整っていると思います。

そんな中でベンチャーに行って転職成功する可能性が高いのは、目的をきちんと定め、それ以外はあえて求めないことをおすすめします。

例えば、以下のような目的を持ってベンチャーに転職するのであれば、求める環境が得られると思います(あくまで私個人の見解ですが)

  • 役職をあげて経営層としての経験を積む(執行役員や取締役を目指す)
  • 営業、企画、マーケティングなど、何かに特化するのではなく横断的に関わる
  • 年収を上げる
  • 人事や教育などを通して”組織造り”に広く携わる
  • 今後伸びる可能性がある新しい市場での専門性を身につける
  • 全く異なる業界や職種にキャリアチェンジする

これは、私自身の経験も含め、ベンチャーに転職した人達の中で、「転職して正解だった」と思っている人達が、目的として掲げていたことです。そして、これらの人達が共通しているのが、”転職した次のこと”を考えているということです。

例えば、「ベンチャーに転職したら経営層としてのマネジメントを経験し、その次のステップとして、3年後には自分の会社を企業したい」といったように、ベンチャー企業への転職のさらに向こう側に目的を持っているということです。

会社のイメージアップ情報を鵜呑みにしない

ベンチャー企業というのは、会社の規模が小さく知名度低いため、人材の採用には苦労します。そのため、積極的に(時にはお金を払ってでも)イメージアップのためのプロモーションを行います。

例えば、社長がメディアのインタビューを受けて、魅力的な会社であることをアピールしたり、時にはその会社の社員が「うちの会社はこんなに素晴らしいんです」というプロモーションをします。

これらは、すべてが嘘というわけではないのですが、あまり鵜呑みにするのは危険です。以前ベンチャー企業で働いていた時に、自分の会社に関するメディアの記事を見て「ちょっと綺麗に書きすぎだな…これを本気で信じて転職してきた人がいたら、実態を知ってショックだろうな。」と思った経験があります。

また、イメージアップが目的なので、良い部分を拡大して打ち出すのですが、同時に存在する悪い部分については一切触れることはありません。

また、面接の際にも、会社の業績がいかに好調であるかや、今後の発展性や将来性が大きい事などをしきりにアピールしてくる場合があるのですが、株式が未上場の企業は業績を公開していないため、本当に好調なのかは確認の方法がないですし、未来の展望については実際どうなるのかは誰にもわかりませんので、ほとんどが妄想だと思ったほうがいいかもしれません。

面接の志望動機は重要

希望する企業が見つかったら、次の関門は面接です。これはベンチャーに限ったことではないのですが、どんな志望動機を持って面接に望むのかは非常に重要です。

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面接で見られるのは、「この人は本当にうちの会社で働きたいと思っているのか?」ということです。そして「なぜうちの会社がいいのか(でなければならないのか)?」という根拠を確認します。面接では、それが伝わるように志望動機を説明します。

具体的には以下の流れで説明すると伝わりやすいと思います。

  1. 自分の将来のビジョン→3年、5年後の目標でもいいし、社会人としてどうありたいかでもOK
  2. 理想を叶えるための課題→自分自身が成長する部分と、そのために必要な環境
  3. 面接を受ける会社の特徴→その会社の特徴、強み、理念、組織文化など
  4. 1を実現するためには2の課題を解決する必要があり、そのためには3の環境が必要である

上記の4つのステップで志望動機を説明することになります。簡単に説明すると、1が転職の背景、2が課題、3が解決策、4が志望動機ということになります。

すでにお気づきだと思いますが、まず1が明確にならないと始まりません。また、2の課題をどう捉えているのかも重要で、”自分の課題”と”必要な環境”という二つの視点で説明できることが望ましいと思います。”自分の課題”だけだと、「自分の中で解決すればいいのだから、どこの会社にいても同じだね」となりますし、”必要な環境”だけだと、「環境さえ変えればいいの?自分自身の努力はしないの?」となってしまう可能性があります。

また、最も重要なのは3になります。2で挙げた課題がその会社で働くことで解決できるのか?ということです。これは、その会社のことをよく知った上で「だから御社で働きたいのです!」という理由がきちんと成立していないといけません。

ベンチャー企業の選び方

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ベンチャー企業を選ぶ上では、どんな視点で見極めれば良いのかをご紹介します。これは私が実際に働いた経験をもとにご説明します。

理念やビジョンの具体性

理念やビジョンは重要です。ここで見極めるのは、”具体性があるかどうか”です。理念やビジョンは、その企業のホームページを見るとほぼすべての企業で掲載されています。そして、全ての企業でそれらしい”美しい理想”を掲げているのですが、なぜ具体性が必要なのかを説明すると、

  • 具体性がある→企業としてのあり方や、やりたい事が明確→進む方向が明確
  • 具体性がない→企業としてのあり方や、やりたい事が不明確→目先の利益に走りやすい

ちょっと極論な気もしますが、私なりに考えぬいた答えがこれです。

私が実際に勤めたベンチャー企業がまさに後者(具体性がない)だったのですが、「この事業が儲かるらしい」とう話を聞けば盲目的に投資して失敗。「この市場が次に盛り上がるらしい」と聞けば、どう見ても勝ち目がないのに参入し、結局まともなサービスも作れずに終わる。という状態でした。

「なぜこうも失敗だらけなのか?」と考えた結果、ベンチャーの多くの場合その会社を起業した人(社長)の性質を色濃く反映し、その社長の”起業家タイプ”によて大別できるのでは?という答えにたどり着きました。

  • 起業目的パターン:起業することが目的であり、経営者であり続けることが目的
  • 起業手段パターン:起業や自分がやりたいことを実現するための手段であり、目的が達成されるのであれば、その手段は問わない

起業目的パターンは具体性の無い理念を掲げがちです。また、具体的にやりたいことが無いので、最終的には”会社を存続させ、できる限り規模を大きくしたい”となります。会社の存続と規模の拡大に必要なのは、「利益」が何よりも重要なので、利益市場主義になり、儲け話やトレンドに振り回されることになりやすいのです。

結論をお伝えしておくと、この”具体性の無い理念を掲げる起業目的パターン”のベンチャー企業はおすすめしません。

主軸の事業に将来性があるか?

これは非常に重要な部分です。ベンチャー企業は潤沢な資金があるわけでは無く、なにをするにもお金の悩みが付きまといます。また、新しい事業を始めるにはある程度の先行投資が必要となり、それを成功させるのも大変です。

もし今現在の事業に将来性が無い場合、十中八九新しい事業展開が必要になるのですが、これが上手くいかない場合、経営が非常に不安定になるのです。

そしてこれも多くのベンチャー企業にあり得るのですが、起業する際に経営を成り立たせる目的で特定商品の代理販売や、受託開発など、”人の手数があればある程度成立する事業”で身銭を稼ぎます。これは大手起業の下請けや、下請けの下請けとしての活動です。

これらは正直”誰でもいい仕事”である事と、付加価値が低い仕事なので、これらの下請け仕事で生計を立てている起業の場合、現場は過重労働になりやすく、そこから抜け出せない場合も多いのです。

反対に、きちんと自社で独自のサービスを展開しており、その事業で利益を得ている場合は、”その会社にしかできない事があり、それが社会で必要とされている”状態であると言えます。

また、その事業が今後発展する可能性があれば、今の路線で突っ走るだけなので、会社が発展していく可能性も高いと言えます。例えば、現在(2017年時点)で言えば、今後の少子高齢化はほぼ確実なので、介護分野や医療分野は発展していく可能性が高いと思われます。また、技術系の分野ではAI(人工知能)や、VR(バーチャルリアリティ)、ドローンなどが成長が見込める分野です。

社員の平均年齢

社員の平均年齢が低すぎる場合も注意が必要だと思います。確かに”若さ”というのは一つ武器にもなるのですが、冷静に考えたときに、新卒に毛が生えたような若い人材と、30代で経験豊富なビジネスマンを比較したときに、総体的に戦力として高いのは30代のビジネスマンではないでしょうか。

もし、平均年齢が25・6歳で30代がほとんどいない場合、なぜそのような状態になるのかを説明すると、

①人件費をかけたくない場合

新卒などを採用すれば、初任給は20万程度でしょうか。しかし、30代ともなると最低でも30万円、理想は倍近い40万程度になります。このコストが賄えないため、安く済む若年層の人材を積極的に採用している可能性があります。

そのような会社では収入面で苦労することが多くなると思われます。

②ミドル層が定着しない場合

若い20代であれば、世間を知らないので多少強引な働き方をさせても「働くってこういうもんなのかな」と現状を受け入れていくことも多いのですが、そんな新人も10年近く経つど魔法が解けて、「この会社おかしくない?」と異変に気付き、我慢できない場合は転職していきます。

このように、”冷静な判断ができるようになった社員が退職していく会社”である可能性があり、そのような会社はやはり組織的に問題がある可能性が高いと思われます。

③ミドル層を採用できない場合

20代の後半や30代ともなると、社会的にも自立し、自分の頭で物事を判断できるようになるのですが、”そのような人材に選ばれていない”というのは、やはり会社の魅力が低いと言わざるをえないと思います。

それは、経営状態や事業の将来性など様々な観点があるのですが、私が経験したベンチャーでも、優秀な人に限って、内定を出しても他の会社に行ってしまうというのが多かったです。

ベンチャー転職の失敗例

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ここで、私自身の経験も含め、ベンチャー企業に転職して失敗した人の体験談としてよく聞く事例をご紹介していきます。

インセンティブやボーナスが無かった

転職では内定が出た段階で具体的な報酬の条件が提示されるのですが、ここで注意が必要です。年収として確約された報酬が提示される場合は問題ないのですが、”報酬シミュレーション”なるものが提示される場合があります。

これは過去の実績からボーナスやインセンティブを含めて計算されるのですが、ボーナスやインセンティブはなんら保証されたものではありません。ボーナスは企業の一存で0になる可能性がありますし、インセンティブとして提示されている金額は、”過去最も高かった例”が表記されている可能性もあり、信ぴょう性に欠けることがあります。

また、評価制度や年収テーブルが毎年変更になることもあり、転職時に提示されるシミュレーションは根底から覆ることも少なくありません。

実際に、私が転職した際には、当初報酬シミュレーションとして450万として提示された年収が、300万程度でした。

残業は当たり前だった

これもよくある話ですが、面接時はそれほ残業はないと言われていたいのに、実際働いてみると残業は当たり前という状況です。そして多くの場合、残業代はでません。

面接時に「個人の裁量に任せている」などと言われる場合は、ほぼ残業は当たり前だと思った方がいいかもしれません。「個人の裁量」とは名ばかりで、22時からの会議が設定されたり、出社の1時間前から会議が招集されるなどして半強制的な時間外の勤務もあり得ます。

社内イベントや飲みが面倒くさい

社内イベントも時には楽しめたり、普段会話しない人との交流ができて良いのですが、やり過ぎの場合もあります。例えば、社長の誕生日会に強制参加させられたり、休日にイベントが企画されて半強制出社があったりします。私はこれらのイベントを欠席した際に、後日呼び出されて注意を受けたことがありました。

また、忘年会などのイベントでは、強制的に芸をやらされたり、一気飲みさせられるなどは今でもあります。好きな人は盛り上がれるのですが、嫌いな人からするとかなりのストレスになるかもしれません。

まとめ

私自身がベンチャー企業で勤めた経験を元に、ご説明してきました。お読み頂いてお気づきの方もいるかもいるかもしれませんが、私が転職したベンチャー企業はこころの底から「いい会社だ」と言える会社ではありませんでした(後になってみればいい勉強になりましたし、良かったと思っていますが)。

しかし、世の中には本当に価値があり、勤めた人がやりがいを感じることのできる企業もあるはずです。今をと決めるGoogleやFacebookに代表されるような会社も、最近のベンチャー企業なわけなので。

きっと今ベンチャー企業への転職を考えている方も、次に来るこのような企業で働きたいという夢をもっているのだと思うのですが、実際には”ベンチャー”という名のもとに、これらの革新的な企業を”装っているだけ”の会社が存在するのも事実です。

私の経験が、皆さんのお役に立てれば幸いです。

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